スタッフステーションでは灰谷がスマホを見ながら、右手首を強く押していた。
隣では横峯もスマホの動画を見ながら手を動かしていた。
ヘリポートに駐機したドクターヘリの機内で冴島が備品のチェックをしていると、藤川が顔を覗かせた。
藤川の目が泳ぐ
冴島はあきれて舌打ちをし、去っていく。
資材室の前を通った藍沢は、横峯を見つけた。
ぎこちない様子にイライラし、声をかける。
そんな2人の様子を葵が陰から覗いていた。
なぜだろう。
白石と緋山が乗ったエレベーターのドアが開き、冴島が乗り込んできた。緋山は平静を装ったが、白石は動揺が顔に出る。見ちゃダメと思いながらも無意識のうちに横に立った冴島の顔に視線が向けられる。
白石は開き直った。
エレベーターが止まると冴島はさっさと出ていってしまった。
本日最初のドクターヘリ要請があった。
葵と冴島、横峯が出動した。
マリーナの駐車場に着陸したヘリから3人が飛び降りる。
横峯は2台目の救急車へと急いだ。
すると急に4歳の少女の体がグラリと揺れ崩れるように倒れた。
白石に搬送許可を取り4歳の少女をヘリへと運んだ。
ヘリに乗り込みながら横峯が答える。
救急車内で姉の意識レベルが落ちた。葵は葵には出来ないと挿管をためらう救急隊員に言った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。