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第7話

CODE BLUE#02-3
3,017
2018/03/29 02:35
スタッフステーションでは灰谷がスマホを見ながら、右手首を強く押していた。
隣では横峯もスマホの動画を見ながら手を動かしていた。
名取
名取
お前ら何してんの?
横峯
横峯
胸腔ドレーンのやり方
名取
名取
熱心だねぇ。灰谷は?
名取
名取
乗り物酔いのツボ?
灰谷
灰谷
あ、いや!
ヘリポートに駐機したドクターヘリの機内で冴島が備品のチェックをしていると、藤川が顔を覗かせた。
冴島
冴島
何?
藤川
藤川
……見ちゃって。検査表……
冴島
冴島
で?
藤川
藤川
何で言ってくれないんだよ。俺の問題でもあるだろ?
冴島
冴島
まだ産むか決めてないから
藤川
藤川
え……
藤川
藤川
そっか……そうなんだ
冴島
冴島
あっ……違う。そうじゃないの
藤川
藤川
え?
冴島
冴島
今は仕事が面白いの。
やっと一通りのことが出来るようになった。部下もできた。今が一番やりがいを感じてるの
藤川
藤川
そうだよな
冴島
冴島
考えたいの。
だから、今は誰にも言わないで
藤川
藤川
うん。……あ……
藤川の目が泳ぐ
冴島
冴島
……いったの?
冴島はあきれて舌打ちをし、去っていく。
資材室の前を通った藍沢は、横峯を見つけた。
ぎこちない様子にイライラし、声をかける。
藍沢
藍沢
おい💢
横峯
横峯
は、はい!
藍沢
藍沢
こっちへ来い
横峯
横峯
えっ、いやでも……
藍沢
藍沢
いいから来い
そんな2人の様子を葵が陰から覗いていた。
なぜだろう。
白石と緋山が乗ったエレベーターのドアが開き、冴島が乗り込んできた。緋山は平静を装ったが、白石は動揺が顔に出る。見ちゃダメと思いながらも無意識のうちに横に立った冴島の顔に視線が向けられる。
冴島
冴島
何ですか?
白石
白石
え?
冴島
冴島
聞いたんですよね?藤川先生から
白石
白石
あ……
白石は開き直った。
白石
白石
どうするのか決めてる?
冴島
冴島
……
白石
白石
どうするにしてもヘリは降りた方がいいと思う。
現場は危ないし、身体にも負担があるから
冴島
冴島
……そうですよね。一人しかいないフライトナースが体調を崩したら、仕事にもなりませんよね
白石
白石
あ、いや、そうじゃなくて私は……
冴島
冴島
友達として言ってくれてるんですか?それとも責任者として?
白石
白石
それは……もちろん……友達として……
冴島
冴島
だったら何も言わないでください
エレベーターが止まると冴島はさっさと出ていってしまった。
白石
白石
もうっ……どうしてみんなこうなのっ
緋山
緋山
あんな怖かったっけ……
白石
白石
あんなだったよ
本日最初のドクターヘリ要請があった。
葵と冴島、横峯が出動した。
葵
患者情報、入って来てますか?
消防
すいません、負傷者二名とお伝えしましたが、もう一名いました。母親と七歳の女の子、四歳の女の子、姉妹のようです
葵
了解しました
横峯
横峯
一人は私が
葵
いいえ、三人任せるわ
横峯
横峯
え?
葵
フライトドクターはあなたよ。私はただの付き添い
横峯
横峯
……はい……
マリーナの駐車場に着陸したヘリから3人が飛び降りる。
患者
痛い、痛い
横峯
横峯
聞こえますか?お名前は?
患者
……お腹が痛い……
横峯
横峯
腹部に圧痛。胸部、骨盤に異常はありません。バイタルもう一度測ってください!
横峯は2台目の救急車へと急いだ。
すると急に4歳の少女の体がグラリと揺れ崩れるように倒れた。
横峯
横峯
意識レベル悪いです!
葵
それで?
横峯
横峯
……そ、それで……?
葵
まずは順番を決めるのよ
横峯
横峯
あ、はい!
白石に搬送許可を取り4歳の少女をヘリへと運んだ。
葵
左の側頭部に血腫がある。EDHかSDHよ。病院に着いたらすぐにCTを撮って、藍沢先生に診てもらって
横峯
横峯
はい
葵
母親はどうするの?
ヘリに乗り込みながら横峯が答える。
横峯
横峯
お母さんのバイタルは安定しFASTでも大丈夫でした。救急隊員に任せます
冴島
冴島
お姉ちゃんはまだ腹痛を訴えています
横峯
横峯
葵先生は7歳の子の救急車に乗ってください
葵
病院までできるだけ近づけておくわ
横峯
横峯
お願いします!
救急車内で姉の意識レベルが落ちた。葵は葵には出来ないと挿管をためらう救急隊員に言った。
葵
私は子供ですがしっかりとキャリアをつんだ医者です!安心してください!