あなたside
結局、真美先生がその時間に帰ってくることは無かった。
休み時間になり、先生の様子が気になって、保健室に向かう。
保健室の扉を開ける。
加藤先生は居ないようだった。
ベッドのある部屋を覗くと、ひとつだけきっちり閉められたところがあった。
私は、分かっていながらも一応声を掛ける。
あなた「(控えめに)真美先生?
佐藤です。入りますよ?」
あなたside
返答が無いのが不安で、少しカーテンの中を覗いてみる。
そうすると、真美先生の寝顔が見えた。
普段の、クールでチャラくて、少し怖めな真美先生のイメージとは正反対の、可愛くて優しい寝顔だった。
しかし、次の瞬間...
真美「(目は覚ましていない)...ん?
(ハァ...ハァ...。)...(寝言で)
く...苦しい...。
...助けて...あなた。」
あなたside
どちら様!?
ていうか、助けてって、いくら同じ名前でも、無理だし💧
ほら!あなたさん!
助けてあげて!!
真美「...ん。
(ハァ...ハァ...。)
(寝言で)あなた?
助けて...?
俺...。
もう...無理...。
ごめん。」
あなたside
ほら!
あなたさん!?
もう無理って、なかなか有り得ないよ!?
助けてあげて!!
苦しそうだよ!?
でも...。
その人、すっごい綺麗で可愛らしい、真美先生にお似合いの人なんだろうな。
なんでだろ...?
私の心も...苦しい...。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!