ーバタリ。
....スマホかぁ。
小さい頃、よくパパとママの携帯電話でゲームしてたなぁ。
私はどこに座れば....?
そう言ってニコッと笑ったおそ松兄さんは、私の手を握って、引き寄せた。
おそ松兄さんが「いただきます」と手を合わせると、それに続いて皆も、手を合わせた。
これ、全部松代さんが作ったんだ....。
ーパク。
ーガッシャーン。
い、今十四松兄さんの向かっていった台所から大きな音が....。
私もいっぱいご飯を食べて体力つけなくちゃ。
....もぐもぐ。
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あ、食器持っていこう。
台所にいくと、チョロ松兄さんが食器を洗っていた。
ーキュッキュッ。
ーキュッキュッ。
ーザーッ。
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食器を洗い終えたチョロ松兄さんは、私の方へと体を向けた。
チョロ松兄さんが、私の手を掴んできたその時。
すぐ横で声がした。
チョロ松兄さんは掴んでいた手を離した。
その時、おそ松兄さんがチョロ松兄さんの肩をポンと置いて、こしょこしょと何かを話した。
最後、一部分しか聞き取れなかった。
なんの話だったんだろう?
ーバタリ。
チョロ松兄さん、行っちゃった....。
真面目な話だったのかな?
なんかすごい気になる....。
ああ、さっきこしょこしょ話してたのはそれだったのかな?
ーなでなで。
おそ松兄さん、私の頭撫でてる?
いきなりでびっくりしたけど........なんだか....
....おそ松兄さん、優しいな....
いつか....私も....。
もういっかい、両親に会える日が来るのかな。
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台所から、リビングに戻った俺とあなたは、残りの片付けをしていた。
俺はそう言って、あなたの髪を今度はさっきよりも優しく撫でてあげた。
ーすっ。
あなたの髪に向かって伸ばしてる俺の手が、あなたの両手ですっと持ち上げられ、そのままあなたの頬に向かって伸ばされた。
あなたの頬はあついよ。しかも赤いし。
なんか....かわいい。
ーギュッ。
....あなた。
みんな、家族。
みんな、みんな....。
大切な、「家族」なんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。