まだ鼓動を収める気の無い胸に手を当てて
目を瞑る。
______今日、私は恋を知りました_______
それからというものは、毎日が大変だった。
恋だと気がついたら、夏くんの姿を見るだけで、夏くんと話しただけで私の心は踊り狂い出す。
必死に今まで通りの平然を装うのが精一杯だった。
だけど夏くんはすごく勘が鋭い。
バレるのも時間の問題かな?
だけどこの関係を壊したくない私は
自分の気持ちに蓋をして毎日を過ごしてる。
夏くんはそんな私の気持ちなんて知らず
今だってほら、私のおでこに手を当てる。
夏くんのせいでどれだけ胸が鼓動を進めてるなんて…伝わらない。伝わっちゃだめ。
私は、バレてしまうのが怖くて思わず
夏くんの前からパタパタと走り去る。
もう!
鼓動が早すぎて心臓が止まりそうだよ…
廊下を下を向きながら走ってると…
ドンっ!
誰かとぶつかる。
私の体は後ろへと飛ばされる。
痛みを覚悟し、目を瞑り待つ…が痛みは一向に
感じない。
恐る恐る目を開けると目の前には知らない男の子がどアップで…
どうやら私の身体を支えてくれてたみたい。
慌てて離れる。
怖い顔で私を見る男の子。
そう冷たく言い残し、その場から離れる。
どんどん遠くなっていく背中に何も言えず、
後でお礼を言えなかったことに後悔する。
同じ学校の人だし、また会ったらお礼言っておこう。
私はすっかり収まった鼓動にホッと息をつき
教室へと足を運ぶ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。