やっと俺自信も落ち着いてきた。
俺はスマホを取り出して 春のお母さんに電話をかける。
春母「あらー!夏くん!デートは楽しんでる?」
現実を知らない春のお母さんは俺にそんなことを聞いてくる。
言いたくない。
春が、今、病院で手術を受けている。なんて言いたくない。
元気でいつも笑顔が、絶えなかった春のお母さんの悲しむ顔なんて見たくなかったから。
俺がそう言うと、春のお母さんは何も言わなくなる。
春母「ど…どこの病院…?」
いきなりで、びっくりしてるのかしていないのか。
春のお母さんは病院の場所を聞いてくる。
俺が静かにそう告げると分かったわと言い、
電話を切る。
その後、俺の母さんにも電話を入れ、暫くすると 春のお母さんと一緒に病院へ来た。
俺の母さんと春のお母さんは、幼馴染。
だから昔も今も仲は凄くいい。
よく、会ったら朝から夕方まで語りっぱなしの時もあったほどだ。
春のお母さんが俺に歩み寄る。
絶対に怒られると思った。
だって俺が春をこんな風にあわせたのも同然だから。
俺はずっと1人で抱え込んでいた。
もしあの時、俺がトイレへ行かなかったら。
プラネタリウムになんて誘わなかったら。
どんどん押し寄せてくる後悔が俺の心を飲み込もうとする。
春母「ごめんね…怖い思いさせちゃって。」
だけど、春のお母さんの口から出たのは思ってもいなかった言葉だった。
春母「私、諦めないわよ。だってあの子は強いから…」
俺は、無理して笑う春のお母さんの言葉とは裏腹に、震える体を見逃さなかった。
だけど、母親の強さを感じされられた。
夏母「花…」
花とは春のお母さんの名前。
俺の母さんが春のお母さんの背中をさする。
頼む…春。
戻ってきてくれ。
春の帰りを待ってる人がここにいる。
俺は、神様にお願いした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。