結局、恋だと気づいた私だけど何もできずに
あっという間に冬休み前。
冬といえば特別、星空が綺麗に見える季節。
家で1人星空を見ると今まで見たことのない
満点の星空がそこにあった。
私はある場所を思い出す。
何故思い出したのか、どう行くのかなんて、分からないけど、どうしてもその場所に行きたいと思った。
すぐに温かい格好をして、家を出る。
お母さんには少し散歩へ行ってくると言った。
ほぼ、勘で足を進める。
顔に当たる冷たい空気が懐かしさを感じさ
せる。
私が着いたのは、当たりに大きな建物や
光があまり無いところ。
そして、空に近いところ。
丘の上。
芝生の上に寝っ転がって視界いっぱいに広がる星空を見る。
目を瞑れば、いつか聞いた男の子の声が頭の中で聞こえる
「流れ星にお願いすると願い事が叶う」
「春ちゃんはどんな願い事をしたの?」
「僕はね______________」
懐かしいような、どこか切ないような
変な感覚になる。
あとひとつ。
あとひとつ、男の子が言った。
男の子の願い事が思い出せない。
んー…と唸っていると……
いきなり、夏くんが現れた。
私はびっくりする。
夏くんも、星空を見に来たのかな?
私の隣に腰を下ろす夏くん。
同じこと思ってたんだ私達。
夏くんが座ると芝生の上に夏くんの携帯が落ちる。
夏くんの携帯についてたストラップは
私が携帯に付けてるのと同じもの。
その瞬間、頭の中に沢山の光景が流れる。
夏くん一家と一緒に行った家族旅行のこと。
父の日でお父さんに肩もみサービスしたこと。
お母さんとピクニックに行ったこと。
クラスメートとの打ち上げで遊び疲れて
次の日熱を出しちゃったこと。
彩月と海にいったこと。
夏くんと…プラネタリウムに行ったこと。
その後に、車に轢かれたこと。
一瞬動きを止めた私に、心配そうに声をかける夏くん。
奇跡が起きた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。