第29話

約束
251
2017/10/15 13:24
私は記憶を取り戻した。

思い出の場所で。
満天の星空の下で。
夏くんを目の前に。




そのうち、最も強く私の頭に出てきた光景。



【夏と春が幼稚園のとき】
あなた

グスッ…

私は幼稚園のお友達の男の子にいじわるを
されて夜、丘の上で泣いていた。

幼稚園を飛び出して、ずっと1人で。


すると、夏くんが私を追いかけてきた。

泣きやもうとしない私の隣に座って、満天に広がる星空を見上げてこう言った。
夏
ねぇ知ってる?
流れ星にお願いすると願い事が叶うんだ。
夏くんは、星空を見上げたまま私にそう言う。

私は夏くんが言った言葉が気になって
あなた

グスッ…願い事が叶うの?

目の涙を拭きながらそう言った。
なぜか、夏くんのその言葉には妙な説得力があった。
夏
うん。
僕もたまに願い事してる。
あなた

だけど、流れ星なんか簡単に見られないよ?

私は、星空を見上げる。

すると、夜空に引かれる光の線。
あなた

流れ星だ…

夏
見られるって信じたら見られるんだよ。

ほら!お願いしなきゃ!
私と夏くんは慌てて目を瞑りお願い事をする。
夏
春ちゃんはどんなお願い事をしたの?
願い事を心で唱えた後、夏くんが聞いてきた
あなた

もっと、強くなれますようにってお願いした!
あと、これからも夏くんと一緒に居られますようにって!

欲張りながら2個もお願い事をしてしまった私。
あなた

夏くんはどんなお願い事をしたの?

私も夏くんの願い事が気になってそう聞いた。
夏
僕はね、泣いてる春ちゃんの顔見たくないから
春ちゃんと結婚すること。
夏くんはそう言う。
夏
結婚したら春ちゃんとずっと居られるから。
一緒に居たら春ちゃんを笑顔にできるでしょ?
そう言って微笑む夏くん。

その笑顔はやっぱり太陽のようだった。
あなた

じゃぁ私も夏くんと結婚する!
夏くんの笑顔守る!

私達は満天の星空の下、約束をした。

この願いが叶うようにと。

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