目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。
体は椅子に固定されていて、手足が動かない状態・・・・明らかにおかしい状況だった。
目の前には大きな丸いテーブルがあって、俺以外にも同じ状態らしき人が何人もいた。まぁ、ここにいる全員、同じ高校の卒業生なんだけど・・・・。
できれば一番聞きたくなかった、俺の苦手な声が部屋に響いた。
声の主《ツキ》は、見るからにいらいらしていた。まぁ自由を奪われている、この状況だからだろうけど。
一切表情が乱さない《シン》は、一言で表すなら『天才』だ。
そしてもう一人の《ミチ》は、俺とは中学からの付き合いで、その時から運動なら何でもできた、まさに『運動バカ』だ。
とまぁ、こんな感じのこのメンバー。
こんな会話、高校時代なんてしょっちゅうだったから、俺はもう慣れてしまっている。
確かにそうだ・・・。
ツキ,ミチ,今寝ているリョウはαで、残り3人はΩ。バランスがよすぎるし、高校が同じでよく一緒にいたメンバーも怪しい。
言葉をさえぎったシンに向け、ツキは舌打ちをした。さすが元ヤン。睨んだ顔と舌打ちの迫力は、並大抵のやつとは全く違う。少し怖い・・・・。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。