俺と話したいから?どうしてだ?
シンは俺とそこまで仲がいい訳ではなかった。高校でも、友ではあったが、親友という訳でもない。
シンは歩む足を止め、俺の方を向いて言った。
シンの説明は、大当たりだ。なのに、俺は自然と口から制す言葉を発していた。
俺は少し、シンが怖かった。それでも、認めざるを得ない。
バレてしまったのだから。
変な声が出た。というか、あっさりとした終わり方に、頭の中は『?』でいっぱいだった。
ずっと隠していたから雰囲気がやばくなる気がしたのに、いつものような雰囲気が逆に違和感を感じさせた。
今の状況に驚いている間に、2人は廊下を進んでいた。俺は2人を早足で追いかけた。
2人はもう番モードに入っていた。
ほとぼりが冷めるまで待って、ずっと何もしないで待つのもいいと思うんだけど──
口からはため息しか出てこなかった。
出来れば友達のままがよかった人が、自分の番になるなんて、考えたくなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。