リョウの顔は赤くて、完全に酔っ払っていた。こいつめ・・・・。
少しにやけている表情が、少し怖かった。
声をかけると、リョウの顔が俺の耳元に近づいてきた。
顔が燃えるように熱くなるのを感じた。
すると、誰かが俺の腕を引いた。上を見ると、ツキの顔があって、俺はツキの腕の中にいた。
みんなの中では、俺がひとりひとり相手を変えて、誰が一番よかったかの勝負らしい。
そこまで俺に対して欲情するのかはともかく──同意見だったのか、5人は黙り込んでしまった。
黙る5人を見て俺も黙っていたが、ソラが空気を壊すように、小さく笑って言った。
ソラは目線を、シンに向けて言った。向けられた目を見て察したのか、シンはため息をつき、口角を上げた。
もちろん、残りの俺らはもちろんわからない。
一同は「ナイスアイデア!」と言わんばかりの表情だったが──つまりは、俺がどっちにしろ5人相手するってことだよな?
時間はもう日付を回っていた。寝れない覚悟を、決めた方がいいかもな・・・・。
それぞれがペアを組んでいき、俺とツキも始まろうとしていた。
俺が「やめろ」と言い終わる前に、口をふさがれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。