第6話

ユメオニゴッコ
388
2017/10/12 08:36
(ふぅ…とりあえず、体育館の用具庫に隠れたけど────)
ガラッ!
ドアが勢いよく開かれた。
ドキッ…!
里緒の心臓が大きく鳴った。
ペタ…ペタ…
(この足音って、裸足だよね…?みんな、上靴履いてるから…まさか、鬼!?)
ペタ…ペタ…ペタ…
どんどん足音が用具庫に近付いてくる…
まるで、里緒の隠れている場所を知っているかのように────
ガラッ!
用具庫の扉が開けられた。
しかし、まだ見つかっていない。用具庫の中は、広くて隠れられる場所も多い。もしも、今入ってきたのが鬼ならば、そっと出ると見つからずに済む。
里緒は少し物陰から鬼を見るために顔を出す。
(え────)
と、思ったのも一瞬。
すぐに甲高い声が用具庫の中に響き渡った。
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!みぃーつけたぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「ひっ!」
里緒は、いっきに用具庫から飛び出す。
ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ!
しかし、鬼の方も足がものすごく速い。
(こ、このままじゃ捕まっちゃう…!)
と、思ったのも束の間。
ドンッ!!
「あっ!」
里緒は鬼に後から抱きつかれ、前に倒れた。
胸を強く打って、一瞬呼吸が止まる。
(ど、どうしたらいいの────?)
「またね。」
ザクッ────
こうして、里緒の初めての夢鬼ごっこは終わった。

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