第9話

ユメオニゴッコ
397
2017/10/19 08:35
ギィー…
ドアが開いた。
今から、人生で二回目の夢鬼ごっこがまた始まろうとしていた。
「ねぇ!なんで?今日、私寝てないし10時に目を閉じてないんだけど!」
優菜が叫んだ。
「そんなこと知らねぇよ!ほら、早く白い紙、見つけるぞ!」
泰成が優菜の腕を引っ張った。
今日は昨日、隠れていた場所を隅から隅まで白い紙があるか探して、三階の図書室に
集まる。と、昼の間に決めていた。葉悠を除いては…
葉悠は、何故かドアが開いたと同時に1階にある調理室に向かって全速力で走っていった。
優菜は、昨日隠れていた「第二音楽室」へ向かった。
この学校は、3学年で1000人を超える結構大きい学校だ。
だから、その分学校はとても広い。
音楽室なんて、四階建ての校舎に五部屋も音楽室があるのだ。
しかも、優菜が今いる「第二音楽室」は普通の大きさの教室ではなく、普通の教室より約2倍ほど大きいのだ。だから、探すのにとても時間がかかる。
「うぅ…見つかんないなぁ。」
優菜は床に膝をつきながら、低い姿勢で探す。
…ペ………タ
(!!!!)
ドクンッ
心臓がドクドクといっているのがハッキリと分かった。
優菜はサッとドアに耳をあてた。
(音は────まだ遠い!逃げた方がいいよね。)
優菜は瞬時に判断すると静かにドアを開けた。
(でも、ここからどうする?ここは、階段がすぐ近くにあるし、降りた方が良いかな?
でも、どこから鬼が来てるのかもわかんないし…)
優菜はもう1度、耳を澄ました。
よく耳を澄ますと、足音以外にも声が聞こえた。
「……み…ん………く…な………い……」
(何を言ってるの────?)
でも、そのおかげでどこから来てるかはわかった。
階段だ。
優菜はサッと音楽室を出ると、工業棟に走り出した。

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