教室の外の廊下側で話をしてしまうと皆に話の内容がバレてしまいそうなので、私と遥は屋上で話をすることにした。
屋上に出ると小さくなった校庭が見えた。
校庭の方はもう文化祭が終わったのに、まだ文化祭が始まった時ぐらいに盛り上がっている。
屋上からの景色が目に焼き付いて離れない。
本当はもっと見ていたいけど…遥にこの気持ちを伝えなきゃな。
完全に、この気持ちを解き明かした訳じゃないけど。
遥、今伝えるね。
本当にこんなに懸命に考えて、こんなに辛くなったり苦しくなったり…初めての体験だった。
でも、この苦しい気持ちや辛い気持ちを感じた時に同じぐらいの量の…幸せを感じることが出来たんだ。
伝えなきゃ、。
そう思い、次の言葉を繋げようとした____。
が。
神様はやっぱり残酷なんだね。
最後ぐらい…この気持ち、遥に伝えてもいいじゃん。
…やっぱり許してくれないんだね。
余命まで…まだ3ヶ月あるじゃん。
まだ、生きたいよ。
恋をさせてよ。
次の瞬間、心臓が苦しくなった。
遥が懸命に私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
死ぬ前に…言いたかったな、ちゃんと遥に……好きだって。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。