私はどうやら少し、眠っていたらしい。
何やら焦っている遥。
まだ生きられる…そういう希望が見えただけで私は嬉しかった。
だって、また遥と一緒に同じ時間を過ごせるのだから。
私の手を握ってくれる遥。
私は遥の手をそっと握り返した。
そう言い私の病室から去っていった遥。
零れ落ちてくる涙を拭うことが出来なくなってしまった私は看護師に涙を拭ってもらった。
そして、私はベッドに横になったまま手術室に向かった。
~遥said~
僕はあなたが病室からいなくなったことを確認してから手紙をあなたの病室の机の上にそっと置いた。
僕の思いが全部詰まった手紙。
病室でそんなことを呟いていると自然と涙が出てきた。
あぁ、僕もあなたと同じくらい、泣き虫になっちゃったのかな…?
あなた、僕に…生きる意味や希望を与えてくれて、ありがとう。
今度は、僕が…君にあげる番だね。
ありがとう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!