第31話

28話
152
2017/10/16 12:51










懐かしい、夢を見た。













小さい頃に遥と花火をした時の、思い出。








…懐かしいよね、一緒に花火をして……その後確か…大きな打ち上げ花火を一緒に眺めたんだよね。
あなた

うん…懐かしいね。

あなた

…え?
遥、どうして……?

なんでかな…?
多分今、僕達…同じ夢を見ているんだと思うよ。
あなた

同じ、夢?







あ、そっか。











私の手術は長時間の手術だもんね。













寝てしまうのも仕方がない。






あなた

ねぇ、遥。
私がもし、手術に成功したら……また、花火見に行きたいな…2人で。








また、あの大きな打ち上げ花火を一緒に見るんだ。











たった今そう心に誓ったのに遥は何故か首を横に振る。








それは…無理かな?
あなた

なんで…?
私の手術って……成功、しないのかな?

ううん、手術はきっと成功するよ。
あなた

じゃあ、何でなの…?
教えてよ、遥!

ちゃんと話すよ____。
…あなたの手術が成功したらね?






そう言った遥は、人差し指を唇にあてた。











…そろそろ時間かな。
おめでとう…手術は成功したよ。
あなた

なんで、遥…分かるの?
ねぇ、待って……!






遥はどんどん遠いい場所に向かって歩いて行ってしまう。












必死に走って追いかけても追いつかない。








これは、夢だから?





あなた

行かないでよ、遥…。
遥がいなくなっちゃったら……私は、どう生きていけばいいの…?

ほら、泣いちゃダメだよ?
笑って笑って。







遠くに行ったはずの遥が目の前に立ってる。







あなた

嫌だよ…お別れなんて、したくないよ…。
やっと、両思いになれたのに……。

大丈夫、これは夢なんだからさ?
目が覚めたらまた僕に会えるよ!






そう言い遥は、目の前で泣いている私に口付けをした。








僕の“最初で最後キス”…受け取ってね。
あなた

行かないでよ…遥。

ごめんね、あなたが目を覚ますのを僕は待っているから。
早く、起きてね。
あなた

うん…約束。







私は遥と指切りを交わした。
















すると遥の体が次第に消えていく。















…っ。









遥が最後に残した言葉を私は聞きとる事ができなかった。

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