学校に着けば、たくさんの子に挨拶してもらえる。
友達だっていっぱいいる。
中学校までの私とは違うのだから。
教室はいつも通りで賑わっていた。
今日も人気者を演じるために
誰にもバレないように深呼吸をして教室に入る。
すると、突然ある子に声をかけられた。
私に1番に声をかけてきたのは
私が断らないのを知っているから。
きっと私は都合のいい子なのだとおもう。
それでもいい。
私を好きでいてくれるのであれば。
きっと中学までの私だったら
こんなこと出来なかった。
楽してる人たちが許せなくて。
でも気が付いた。
私は心が狭いってことに。
みんなに好かれるには、優しくしなければいけないということに。
華恋は私の親友。
優しくて、明るくて、人気者。
私の理想を絵に描いたような子だ。
すごく気が合って、
華恋とはすぐに仲良くなれた。
たまに背伸びしないとついていけないところもあるけれど、
私のお手本だ。
そう言って華恋は少し悲しそうな表情をする。
たまに、こんなことがある。
ううん。よくある。
華恋の悲しそうな表情を見ること。
だけど、誰にも入り込ませないように
一線を引いているのを感じる。
親友は全てを話せることだけが親友ではない。
中学の時に元親友に言われた言葉。
忘れられないなんて馬鹿だけど、
私の考えが間違っていたのか。って
すごく悲しくなったのを覚えている。
人間、誰にでも人に言えない闇ってあるものだと、私は思っている。
だから華恋が私に言えないことがあるなら別に大丈夫。
隠し事があっても
親友だから。
先生の一言で、みんなが席に着く。
いつもと変わらない光景に少し退屈を覚えながら、私も席に着く。
まさか私の人生が少しずつ崩れ始めていくのをまだ私は知らない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。