外を眺める
つまらない授業をBGMにして、この錆びれた校舎の窓辺から眺める空、雲、世界。
小さな烏が円を描くように飛んでいる
私は、同じようにして外を眺めるあいつに目を向けた。
二限終わりまで、あと五分
窓の外を見ているあいつ、
私が、いつからか恋心を抱くあいつ。
同じ教室で机を並べ
同じように西を向いて学ぶ日々
そこに私も、あいつも加わっている。
僅かに茶色がかった髪
切れ長の瞳
薄い唇
褒められると見せる照れ笑い
落ち着いた声
困った時に首を触る癖
「ただの幼馴染」が
「すきなひと」に変わったのは、きっとあの日から。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。