私とあいつは幼馴染ではあるけれど、世でいう、幼馴染、つまりお互いの家に遊びに行ったりしょっちゅう喧嘩したり、恋人になったり、ラブコメチックなものではない。
そもそも幼馴染=ラブコメというイメージを持たれる事に疑問を抱く。私は。
いや、まぁ現に私は幼馴染のあいつに恋をしているのだけれど。
とにかく、幼馴染だからといってなにかある訳でもなくて、ただ幼馴染というだけで、それ以下でもそれ以上でもない。
私はそれでもいいと思っていた。
このまま平穏に学校生活を終えるはずだった。
けれど、人生そう簡単じゃない。
なにかの巡り合わせか、神様の気まぐれか、別に何でもいいけど。
とにかくある日突然、私の平穏な学校生活は終止符を打つ。
朝、いつもと変わらない朝
交差する視線、人、雑踏
冷えたコンクリートをローファーで蹴っ飛ばして大音量で聞く邦ロック。
バスが発車する。
今日の平穏をまた願いながら、ただ、運ばれていく。
私の平穏が変わるのは、太陽がもう少し昇ってから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。