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2017/10/07

第3話

恋に、落ちていく。
今日も教室に入る。
無機質で代わり映えしない、騒がしい閉鎖空間。正直息が詰まりそうになるけれど、そんな教室から眺める空が結構好き。

「【私】ちゃん、おはよ」
「あ、【ただの友達】、はよ。」
「あれ、髪切った?」
「え、切ってないよ」
「えー、なんか違う、いい。」
「え、そう?そうかなぁ?」

【ただの友達】は意味もなく笑い、教卓の前で駄弁っていたチャラチャラしたグループの方に向かっていった。


私は1人、何をするでもなく外を見つめる。


代わり映えしない風景
代わり映えしない日常
平凡かつ平穏な日々




が、変わる瞬間
今思えば

あの時、空を眺めていなかったら

あの時、【ただの友達】を追いかけていなかったら

あの時、教室のドアを開けていなかったら


あの時、「私」と「あいつ」が出会わなかったら



変わらなくて済んだ私の平穏な日常




「【私】、はよ」

「お、はよう」

自分の机で課題をやっていたあいつは、どうしてか、突然私に話しかけてきた。
何故かは分からないけど。
前触れなく、本当に突然だった。

私は驚いて言葉につまる。
毎日顔を合わせるだけで、話なんて滅多にしない、幼馴染という形だけの関係を保っていて、深く干渉しないあいつ。

どうしてあいつが私に話しかけてきたのか、今でも分からないのだけれど、

「【私】ってさ、いっつも空、見てるよな。」

「あ、うん。」

「好きなの?空」

「いや、空が好きというか、ここから見る風景自体が好きで…」

「綺麗だよな。」

「え?」

「この錆びれた閉鎖空間から見る、果てしない大空、綺麗だけど、壮大だけど、なんか儚くて、壊れそうで、だから俺も、この景色、結構好きなんだよね。」

同じだった

私とあいつは、同じような気持ちで空を見ていた

私はあいつの言ったことになんて返したかよく覚えていない。多分、へぇ、そうなんだ、みたいな事を言ったんだろうけど、そんなの考えていられなかった。

何故だろうか
彼の言葉に、心をときめかせている自分がいた。


恋に落ちるタイミングって、優しくされた時とか、意外な一面を見た時とか、初めてあった時とか、いろいろあるけれど、

こんなどうでもいい、あいつにとってはただの暇つぶしでしかなかったかもしれないあいつの言葉で

私はいとも簡単に恋に落ちてしまった。