「……ベタ惚れ」
「菜央そこ喜ぶところじゃないのよ、お願い頬を染めないで!」
ベタ惚れしている、自覚はある。いやでも、正直仕方ないと思う。
だって、小学生の頃からの八年越しの恋。思いだってどうしても強くなるもの。
春くんの優しさを知った八年前からずっとその全部が好き。
「こういうアングルって普通逆なのに……しっかし何でかなー」
「果鈴、あのね」
「……何?」
「私、果鈴のこと好きよ」
「…………ううーー!」
謎の悲鳴をあげて机に突っ伏す果鈴の頭に手を置いて、癖っ毛の髪をふわふわ撫でると、さっきの賑やかさが嘘みたいにシーンと静まり返ってしまった。どうすればいいのか分からなくなって、とりあえず撫で続けていると、突然バッと顔を上げる。
「菜央!人生で告白は今の一回きりでいい!だからっーー」
「おい、うるさい」
「いっ……たーい!」
はたまた突然、果鈴の頭に落とされたチョップ。相当痛かったのか、少し涙目になった果鈴がキッと睨みつけた先にいたのは。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。