第5話

Story.4
26
2017/10/08 17:24
「……ベタ惚れ」


「菜央そこ喜ぶところじゃないのよ、お願い頬を染めないで!」


ベタ惚れしている、自覚はある。いやでも、正直仕方ないと思う。
だって、小学生の頃からの八年越しの恋。思いだってどうしても強くなるもの。

春くんの優しさを知った八年前からずっとその全部が好き。


「こういうアングルって普通逆なのに……しっかし何でかなー」


「果鈴、あのね」


「……何?」


「私、果鈴のこと好きよ」


「…………ううーー!」


謎の悲鳴をあげて机に突っ伏す果鈴の頭に手を置いて、癖っ毛の髪をふわふわ撫でると、さっきの賑やかさが嘘みたいにシーンと静まり返ってしまった。どうすればいいのか分からなくなって、とりあえず撫で続けていると、突然バッと顔を上げる。


「菜央!人生で告白は今の一回きりでいい!だからっーー」


「おい、うるさい」


「いっ……たーい!」


はたまた突然、果鈴の頭に落とされたチョップ。相当痛かったのか、少し涙目になった果鈴がキッと睨みつけた先にいたのは。

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