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第33話

盲目的な、⑵
- ホーラビ - 🐰 (続き)






「あっ、藤枝さん!」


「えっと、こんばんは…」


「浴衣似合ってるよ!」



ありがとう、

と言って笑ってみる。


俺は母さんに浴衣を着させてもらった。

いや、着せられたと言う方が正しいか…


やけに母さんは張り切っていて、
いつの間にか浴衣を買ってきていたようだ。



「なんで包帯してるの?」


「一目で目が見えないってわかるでしょ?」


「あぁ、そーゆーことね」

「じゃあ行こう」


「うん…あ、でも」


「どうした?」



好きな声が、

好きな人の声が、聞こえる。


足音が止まったことから、
俺を待つために彼が止まってくれたことがわかる。



「道、分からないから……」

「掴まって…いい?」



なるべく控えめに聞いてみる。

外に出る時は母さんに掴まって歩いているため、
1人では歩けなくなってしまった。



「あぁ、全然いいよ」


「肩、貸してもらうね」


「うん」



彼の肩を手探りで、

でも、無駄に触れないようにして掴まった。


肩の位置からして、

背は俺と同じぐらいか
俺より少し高いと判断した。



「えっと、」


「ん?どうしたの?」

「もっとゆっくり歩こうか?」


「いや、違う」

「名前聞いてないなって」



彼は 確かに、とでも言うように

あぁ と呟いた。



「俺は寺島」

「藤枝さんの下の名前は?」


「じん、イニって書いて仁…」

「あと、さん付けしなくていいよ」


「わかった!仁くん!」


「うん……寺島、くん…」


「へへ」



彼は笑った。

彼の笑顔はどんなだろう。


きっと、素敵なんだろうな。



「寺島くん、下の名前は?」


「秘密!当ててみてよ」


「えぇ、無茶があるって」

「それより、なんで秘密なのー」



俺たちは夏祭りが行われる神社への道のりを

お互いのことを聞きあいながら歩いていった。

-

「仁くん!かき氷、食べる?」


「食べる」



冷たくてふわふわしている氷が
口の中に入ってくる。

その氷は淡く、ほんのりと溶けた。



「美味しい」


「じゃあ全部食べていいよ」

「はい」



寺島くんはそう言って
かき氷の容器を渡してきた。


スプーンを手に取り、
もう一度口の中にかき氷を運ぶ。


甘い。



「俺焼きそば買ってくるから待ってて」


「あ……寺島くん」


「ん?」



ついつい呼び止めてしまった。

止めるつもりはなかったが、
せっかくの夏祭りだし、言ってみる。



「はぐれちゃうとやだし、一緒に着いてく」


「おう、わかった」



寺島くんの肩に掴まる。


ガヤガヤとしている中、
俺たちの周りだけ穴が空いたように静かだった。


…いや、実際は違かったのかもしれない。


ただ、俺が寺島くんに夢中になっていただけなのかもしれない。


なんか恥ずかしいや。
不意に寺島くんが止まった。

びっくりしてかき氷を落としそうになる。


どうしたの、と聞いたら

寺島くんはこう答えた。



「ねぇ、肩だと離れちゃうかもしれないからさ」

「手、繋いでもいいかな?」



手を繋ぐ。

俺と、寺島くんが。



「あ、うん、いいよ…」



寺島くんの手が
俺の手を包み込むようにして

ギュッと固く握られた。


無意識に力を込めてしまう。


そのまま寺島くんは歩き出した。


手に汗をかいているけど、

これは緊張のせいなのかな。






だとしたら、

俺もだいぶ乙女になったものだ。



寺島くんがどこに行くのかも知らず、

俺はただ
ひたすら寺島くんに着いていくだけだった。














追記.


寺島くんは焼きそばを買いに行こうとしてます。

決して仁くんが記憶喪失になったわけではありません私の記憶力に問題があるのです。


焼きそば買った後設定にすればよかったかな
とか今更思ってますが、

この後のお話(最終話)の最初の文に
「焼きそばを買いに行った後」
的なこと書いちゃったんでもう諦めました。

悪いのは私です。

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カミネ
カミネ
2019/3/5 ⏩ 更新 クラスのカップルがお熱いので!!!! テオじん冷め気味御免!!!! 私がフォローした人の作品のお気に入り全部外しました~お気に入り外してもたまに見に行きますのでご安心を~ 🐴 自己紹介 🐰 ・4月から高校受験生 ・多忙(でもない) 🐴 好き 🐰 【CP】 <スカイピース> ・🐴→🐰 ・🐴×🐰 ・🐰×🐴 <進撃の巨人> ・エレリ ・エルリ ・ジャンエレ(リバ可) <おっさんずラブ>(now推しカプ) ・牧春(リバ可) 【ストーリー】 ・片思い ・バドエン ・暗め ・歌詞小説"風" 《リアルな話は好き》 【性癖(フェチ)】(*ˊᵕˋ*)<暴露しちゃうゾ ・小スカ ・射○管理 ・玩具 ・抜き合い ・骨フェチ(主に手.足首) ・ショタ(小声) ・靴下の長さにこだわりある((キモイ ・受けにはナース服着させたい 🐴 注意 🐰 ・🐢更新&低浮上 ・マニアック性癖 ・自称バドエン勢 ・コメント長文民 ・ただの変態 ・ビックリマーク(!!!)の人 ・クラスの男子にバニーガール着せたりしたい系中学生 ・心臓がズタズタに引き裂かれた気分。 血が滲み出るかのように、この気持ちは汚く綺麗である。鮮やかな赤に1人、目を閉じて横たわる。 声にも嗚咽にもならなかったものが喉から這い出てきた。 頭の中では理解しているつもりなのに、この眼に映っている事実に体を縛り付けられている。 最後まで輝いていたであろう魂は、いつか忘れ去られてそこには何も残らなくなる。虚無。なんと残酷な。私は変わってしまった。汚く、綺麗になってしまった。 もう楽になりたいと心底思っているのに、まだもがき続けるのは本能であり、また、生きたいと心底思っている証拠。 故に心の底とは。 生きようともがき、楽になることを常に望む。 それが私のルール。
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