第25話

幸せって、
1,246
2018/03/28 12:46
※懐かしのプリ小説β版での作品を改良しまくった!

※じんたん目線(多い)

※季節外れ

※密かな幸せをそっと感じてくれたら嬉しいです…


-

テオくん
今日水族館行こ
じんたん
えっ?



何の変哲もない7月の月曜日。



突然の提案に少し戸惑った、

午後1時46分頃。


じんたん
……いいよ?


-

テオくんが、遠くの方に行きたいって、



電車に揺られること、何時間。


もうどこに向かっているのかも分からない。

ただ、無口で、静かな時間が流れていくだけ。


テオくん
じんたん、海が見えてきたよ
じんたん
お、綺麗


電車がゴトン、という音をあげて揺れた。


窓から見えるのは、
遥か遠くまで広がる青い、青い海。


日に照らされて、キラキラと……


なんて、

ロマンチックな光景が見えたわけではない。


今日は少し曇ってて、

でも、

蒸し暑い日。

じんたん
もう少しで、降りよっか
テオくん
うん


電車が駅に、静かに着いた。



-



じんたん
ここ………どこ…?


海の近くにあるだろうと思って

歩き回ってみたところ、迷ってしまった。


汗が額から垂れるのが気持ち悪い。


少し田舎のところに来てしまったらしく、

どこを見渡しても、高い建物は無かった。

じんたん
テオくんごめん…無理かも……
テオくん
ん、だいじょぶだよ


そう言って手を握ってくれる。

俺は横をちらっと見て、テオくんの横顔を見た。


テオくんは前を向いたままだけど、

今、どんなことを考えてるの?


水族館のこと?

この街のこと?

今日の晩御飯のこと?



それとも、

俺のことかな?



-

俺たちは、スマホで現在地をなんとか調べて、

安いホテルに泊まることにした。


テオくん、今日はとっても静かだな。

朝からなにか考えてるみたい。

じんたん
どうしたの?
テオくん
なにが?
じんたん
今日、やけに静かじゃん
テオくん
そーかなぁ
じんたん
そーだよ


少しの間が空いた。


テオくんが、窓の外に目を向ける。

安い割には、窓から綺麗に海が見えるとこで、

夕焼けが綺麗に見えるとこで、

テオくん
俺、今幸せなのかも


テオくんが、窓に目線を向けたまま

ぼそり、と呟いた。


幸せ。


なぜか、やけに懐かしく感じる言葉。

じんたん
幸せ?
テオくん
そう


テオくんはそれだけ言って、口を閉じた。

ただ、遠くを見つめる姿がどこか切なくて、


俺は

テオくんがどこか遠くへ行ってしまう気がして

寂しい思いでいっぱいになった。

じんたん
テオくん、俺、今ね、
じんたん
この時間を大切にしたい


俺が心を込めて言った言葉は

波の音で掻き消された。


テオくんに、ちゃんと伝わったかな?



-
テオくん
今日は海の日だよ。
じんたん
えっ


テオくんが、今日初めて俺の方を向いて

優しく微笑んだ。


夕日が顔に当たって、

やんわりとオレンジ色に染めている。


じゃあ、今俺の顔が赤いの、

テオくんにバレてないよね。



久しぶりに、ドキッとした。



俺たちはもう、

恋人みたいに手を繋ぐ関係だし

キスをしあったり

一緒に寝る関係でもあるけど


なんか、

好きって感情が止まらなくなって、

今すぐ抱きしめたくなったのは、、


とても久しぶりで。


じんたん
テオくん好きだよ。



ほっぺにキスしたら、

今度はテオくんが口にキスしてきた。



-



こんなに静かな時間を過ごしたのは、

いつぶりだろうか。


波の音に抱かれながら、

ベッドに横たわって、

寝息を立ててる君を見ると、




















幸せって、



こうゆう意味だったな、って。








END.

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