※藤枝目線
※キャラ崩壊
※お風呂入ってたら思いついたネタ
※学パロ(なら短編集に出すなよってね)
-
俺は藤枝。
至って普通の高校生。
そして、うるさいこいつは寺島。
クラスの中心角に居る奴。
こいつには妙な趣味がある。
趣味なのか?あー…よくわかんない。
とにかくこいつは
『3秒ルール』をめちゃくちゃ守る。
なにを落としても3秒で拾い上げる。
ストップウォッチで計っても
必ず3.00秒。
凄いよな?
そうそう、俺ストップウォッチ持ち歩いてんの。
こいつの3秒ルールが気になって仕方なくてさ。
今日はなに落としたんだ?
-
別にキャッチしてないし、
落としてるし、
3秒経ってるし。
なのに周りから歓声があがる。
なんなんだこいつは。
というか弁当にミートボール入ってんのか。
見た目によらずお子ちゃまか。
相変わらずストップウォッチには
3.00の数値が表示されている。
-
パリーン………
そりゃあ割れますよね。
落ちそうになってから3秒間待ってたら
そりゃあ割れますよ…。
馬鹿なのかこいつは……。
しかもやっぱり3.00ぴったり…。
ある意味天才だよ。
たまたま目をつけられた。
寺島が俺の背中を押してきて
割れた花瓶の前に立たされた。
おのれ寺島ぁ…………。
寺島の方を見ると、ニヤニヤと笑っている。
腹立つなぁあいつ………。
俺は先生にはい、と素直に言い
割れた花瓶を片付けて午後の授業を受けた。
-
愚痴をこぼしながら
教室をホウキで掃く。
なんでこんなにホコリあんだよ…。
てか、こんなホコリだらけの教室で
ミートボール落として3秒ルールとか、
ただただ汚いだけじゃん。
菌着きまくりだよ…。
ため息を着くと
1人きりの教室によく響いた。
俺ってやっぱり1人だよなぁ。
いつも。
今考えたくないことが頭にふとよぎった。
それを遮るように、
俺は好きな歌を歌った。
1人のいいところなんて、
他人を気にせずにいられることぐらいだ。
俺は人が居ないことを良いことに、
全力で歌いまくった。
もちろん、掃除しながらね。
-
ふと気づいた頃には
もう30分が過ぎていた。
やば、もう帰っていいのかな?
カバンを準備して、帰ろうと
ドアの方へ向かおうとしたら…
まぬけな顔したあいつが立っていた。
そう、寺島。
なんでそんなにぽけーっとしてんだ?
…嘘だろ聞かれてた!?
よりにもよって寺島に!?!?
最悪………
今日はほんとに最悪だぁ……
穴があったら入りたい…
もうやだ……
でも、こいつ褒めてくれたよな?
…嬉しい、かも。
褒められたことなんて1度も無かったから。
俺がそう聞くと、
寺島はにぃっと笑って
うん
と答えた。
笑顔が痛いほど眩しく感じた。
やっぱり中心なだけあるな…。
えええええぇ………
俺、帰ろうとしてたんですけど……
まぁ、用事も特に無いし
話し相手になってやろうかな。
-
俺の好きな物、
好きな歌、
好きな色、
好きなゲーム……
色々なことを聞かれる。
こんなに楽しい会話っていつぶりだっけ?
机の上に座って、夕焼けを眺めながら
他愛の無い話をする。
まぁ、本当のことなんだけどね?
こいつ、こんな奴なのに案外イケメンでさ。
あ、そーゆー意味じゃないよ!?
別に恋愛対象でもなんでもないからね???
ただ、
なんかいいなぁ
って。
ふと時計を見ると、
あと少しで校門が閉まる時間だ。
1人で歌ってた時より、
2人で笑いあってる時の方が
時間が流れるのが早い気がした。
やば、つい口に出しちゃった。
嫌なふうに捉えられてたらやだな~…
なんて思っていたら、
そうだ、まだ交換してなかった。
というか、俺、クラスの人のLINE、
1人も持ってなかったんだな。
寺島とこんなに仲良くなれるなんて…
思ってもみなかったなぁ。
今日は俺の好きなアニメの放送日だ。
そう、早く帰りたかった理由はこれ。
俺がドアの方へ早足で行ったら
教室から出る寸前に腕を掴まれた。
急だったからコケそうになった…
危な……
俺が寺島の方へ振り返ったら、
唇になにか触れた。
目の前に寺島の顔がある。
目を閉じててもやっぱりこいつイケメンだな…。
あれ?
俺……今寺島と………
なんて考えていたら
唇からなにかが離れた。
そう言って寺島は先に教室から出て、
走って行ってしまった。
…だけどさ、
あいつが俺の唇に落としたキスの時間。
ストップウォッチにはこう表示されてんだよね。
___3.01秒。
END…?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。