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第1話

1,これは、ひどく晴れた日の物語。
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2017/10/07 01:52
それはひどく晴れた日のことだった。

俺たちは、そう。また皆で集まって、遊んでいたんだ。

昨日は缶蹴り。そして、今日は鬼ごっこ。

山で生まれ、山で育った俺たちの遊びが尽きることはない。

「おーい!こっちこっち!もう~…勇也遅いよっ!早く早く!」

「ふふっ。俺を甘く見るなよ、光希。」

「は?勇也、一体何を言って…どりゃぁあ!?」

「お前、油断してたな~!ハハッ、そこは俺と湊太が掘った落とし穴があるんだよっ!
それに気付かないとは、随分と落ちこぼれたな!」

「くぅ…してやられたね…
まあ良いさ、今度は私が鬼だね。地獄の底まで引きずり下ろすからっ!」

俺たちはほんの小さな頃からこの山で遊んでいる。

どこにどんな木があるか、どんな罠が仕掛けてあるか…。

中学1年生ともなれば、全員が全てを把握してる。

大人は知らない、俺たち5人だけの秘密だった。

「え~。光希が捕まっちゃったの…?やだ、逃げなきゃ…。えと、あーっと…」

「おい、ユリナ!あたふたしてる場合じゃねぇぞ!光希が落とし穴から出る前に遠くへ走れ!」

「…そうだよね!えと、湊太君と敦志君はどこ行ったんだろ…」

「…さーあ。やってくれたね勇也…
私を鬼にしたからには、もう誰も逃げ切れやしないよぉっ!」

「う、嘘だろ光希!もう這い上がって来やがったのか!?早すぎるだろ…‼」

晴れの日には誰かがクタクタになって倒れるくらいまで遊ぶ。

それなのに、その次の日にはピンピンしてまた別の遊びを始めるのだ。

俺たち5人は、いつでも一緒の親友だった。

共にいるのが当たり前。

ばかみたいに騒いで、怒られて…

それでもまた皆でふざけあったりするのが当たり前。








そう、思っていた。

そう、信じていた。

もう一度繰り返す。

それはひどく晴れた日のことだった。
 
特にその日の夕暮れは、赤く赤く燃え上がるようで、突き刺すような光が目に眩しいほどの太陽だった。

「結局、全っ然勝負つかなかったね~。
いつも通りといえば、いつも通りだけどね」

「確かにそうだな、ユリナ。僕、敦志にいきなり
足首を掴まれた時は心臓が止まるかと思ったよ…」

「しゃーないやろ!俺やって必死やったんや!!」

「いやー、でも今日の一番の名シーンはあたしと勇也の一騎討ち!」

「間違いねぇな。いやぁ、木の陰に追い込まれたときはどうなることかと…」

「ほんまスゴかったわ!やっぱ光希はさすがやな~」

「あんたもね、敦志!」

「皆スゴかったよ。そうだ、そろそろ僕らも帰らないとね。日が暮れたら真っ暗だよ」

「ホントだ、急ごっ!そうだ、一番走るの遅かった人に罰ゲームさせるってのはどう?」

「それええやん!絶対に負けへんで!」

「そうと決まれば…よーいどん!」
 
俺たちは同時に駆け出した。











…はずだった。









次の瞬間のことだ。
走ろうと足を出したユリナの体が、突如急速に傾き、
宙に舞い、頭から落ちていったのは。

 


一瞬のことだった。
一瞬のことだったのに、やけにゆっくりに感じられたのは、何故だったのか今もわからない。

全員がユリナの方を振り向き、駆け寄った。

「ユ、ユリナ!?大丈夫か!?」

「ちょっと待ってよ。ユリナが起きない!し、死んじゃった!?」

「落ち着けよ、光希。ちゃんと息をしてるだろ」

「と、とりあえず先生やっ!先生呼んでくるわ!」

「敦志、頼んだぞ!ユリナ。大丈夫か?目を開けろ…」









結論から言えば、ユリナは医者の先生が駆けつけてからすぐに目を覚ました。
ただ、問題はその先だった。








そう、これはひどく晴れた日の記憶。
今から、2年前のこと。

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