ユリナはたまたまつまずいたのではなかった。
いきなり意識を失ったのだ。
「あのね……。
よく分からなかったんだけど…、いきなり頭が真っ白になって…。あと、スゴく胸が痛かったのを覚えてる」
先生にその時の様子を聞かれたとき、ユリナはそう答えた。
そしてユリナは、意識を失った理由を探るため、大きな病院で入院をし、検査を受けることになった。
「ユリナ…、大丈夫なんかな」
「敦志、それは誰にもわかんねぇよ…
とりあえず、なんでもないってことを祈ろうぜ」
「ほんと、勇也の言う通りだよ。あたし達が暗い陰気な顔してても仕方ないからね」
俺達には信じることしか出来なかった。
2,3日経って、検査の結果がでた。
ユリナの両親は、ひどく泣いていた。
医者の口から飛び出したのは、
全く聞いたことないような難しくて長い病気の名前と。
余命3年の宣告だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。