第8話

8,すれ違いと違和感。その2
83
2017/10/08 13:01
家に帰る。

ドアを開ける。
光希・妹
お姉ちゃんお帰り~!
光希
光希
ただいま。
良い子にしてた?
光希・妹
うん!今日ね、おばあちゃんのとうもろこしの収穫手伝ってたんだよぉー!
偉いでしょっ!
光希
光希
わ、すごいじゃん。
今夜はご馳走だねっ。
可愛い妹だ。

無邪気で純粋で真っ直ぐで。

ほんとに、澄んだ目をしてる。

  



いいな。


  

ふと、そう思った。

あたしは今、どんな目をしてるんだろ。

暗い目?

濁った目?

光のない目?






……死んだ目?


あの日。ユリナの余命宣告を受けた日から、私の目はきっと死んでいる。

もちろん、皆や家族の前では明るく振る舞っているけど

でも、やっぱり限界がある。




……あたし、なに考えてんだろ。 

ユリナの方が辛いに決まってんじゃんっ……

私達が強くならないと、誰がユリナを励ますんだよ……





あたしは、自分の部屋に入ると鍵を閉め、布団に潜り込んだ。
光希
光希
く…………っ……
やっべ、涙が溢れだしてきた。

もう、ほんとなにしてんだろ……。

なに、やってんだろ……。






皆、どんな気持ちで夜を過ごしてんだろな。

ははっ。

きっと、皆も同じこと考えて落ち込んでるんだろーな。





集まったときは笑顔なのに、解散したら皆して暗い顔して。バカじゃん。








なんとかしないとね。

なんてたって、リーダー、なんだから。


私は涙を拭うと布団から這い出して、ベランダに出た。

そして、大きく息を吸い、
光希
光希
あぁぁぁあぁぁあぁああぁ!!!!!!!!
ありったけの声で叫んだ。

ド田舎なんだから、誰にも迷惑かけないしね。
光希
光希
ふうっ。
もう泣くのは終わり。

くよくよすんのも終わり。


前に進むだけ。


よっしゃ、やってやろうじゃん。
 




神様のばーか。







うちらに出来ないことなんてないっての。






見てろ。
光希・妹
お姉ちゃぁんっ!
電話だよーっ!
光希
光希
あたしにっ?
光希・妹
そーそー!
お友だちから!








湊太からだった。

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