もはや3秒ルール守ってません(ネタバレ)
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観覧車はどんどん上へと回っていく。
話すことがなくて、ただただ沈黙が続いた。
寺島が口を開く。
寺島が立ち上がってこっち側に座った。
微妙に傾く。
狭い空間にこの状態は
誰でもドキドキするよ…な?
寺島が俺の方を向いてきた。
いつものように真剣な顔。
目をつぶって待ってみる。
吐息が顔にかかって、少しくすぐったい。
…ストップウォッチのボタンを押す。
もう癖となっていたその動作を
今まで忘れていたかのようだった。
1
2
3
…
寺島の唇は離れなかった。
むしろ、3秒ルールなんて関係ないかのように
どんどん角度を変えて
そして、どんどん深く…
そう言った寺島はなんだか気軽そうに見えた。
こんな俺とキスしたのに
なにも感じないのかな。
こいつ。
不意に寺島がこっちを向いて
ふにゃっと笑った。
なんだよ、その笑い方。
気づけばもう観覧車が1周回っていたようだ。
観覧車から降りると、また変な目で見られた。
あー、
多分、俺の顔が赤かったからだろうな。
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そう言って寺島の背中に手を降るも
まだ胸の奥に突っかかっているものは
無くならなくて。
不甲斐ない気持ちでいっぱいになって。
俺は寺島と反対方向を歩き出した。
誰かとずっと一緒に居たいという気持ちは
きっと初めてで……
少し歯がゆい感じがした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。