(タイトルが迷子)
(私、きっと疲れてる)
(最後とかよくわかんないもん)
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そう言って手を引いてくるものの、
その先には、
今日だけで10回以上乗ったであろう
"絶叫マシン"
いわゆるジェットコースターがある。
最初の方は俺も楽しんでいたが、
5回を超えた辺りから気分が悪い…。
だけど寺島の回復力は底知れない。
まだ目を輝かせている。
今度は俺が手を引っ張る番になった。
寺島は後ろから小走りで着いてくる。
コーヒーカップは小さい頃から大好きだ。
よく父さんと乗ったなぁ…。
懐かしい。
寺島が横に並んだ。
横に並んだ状態で手を繋いでいるのは
さすがに気持ち悪いだろうから
手をそっと離した。
なぜか寂しい気持ちになった。
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コーヒーカップの速度が上がる。
寺島はハンドルから手を離さない。
こんなになるんだったら
大人しくジェットコースター乗ってればよかった…
目が回ってくる。
だんだん視界が歪んできて………
き、気持ち悪い……
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俺たちは
ベンチに座って休憩することにした。
やっぱり、ゆったりとした時間は好きだ。
寺島がチュロスを買ってきたから
食べようと口を近づけたら、
タイミングが良いと言うのか悪いと言うのか、
折れてポロッと落ちた。
が、寺島はそれを拾って…
もちろん、落ちてから3秒後にね。
そしてそれを俺の口に近づけてきた。
俺が汚い、と言うと
3秒ルールだから大丈夫、
なんて根拠の無いことを言う。
そんなことをしている内に、
もう空は橙色に染まっていた。
寺島のが指を指している先には
…観覧車があった。
男同士で観覧車はキツくないか?
まぁ、別にいいか。
久しぶりに乗るのも悪くない。
俺は気づかなかった。
指を指した後の3秒の間、
寺島がとても真剣な顔をしていたことに_
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。