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別にキャッチしてないし、
落としてるし、
3秒経ってるし。
なのに、周りから歓声があがる。
なんなんだこいつは。
てか弁当にミートボール入ってんのか。
見た目に寄らずお子ちゃまかよ。
お母さんが弁当を作ってくれてる、
なんて話をしていたが…
確かに弁当の中身はカラフルで、
めちゃくちゃ美味しそうだ。
俺の弁当の中身は冷凍食品か昨日の残り物だ。
健康に関しては寺島の方が良いのかもしれない。
…なんてことを考えながら、冷凍食品を頬張る。
相変わらずストップウォッチには
3.00の数字が表示されていた。
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パリーン__
そりゃあ割れますよね。
落ちそうになってから3秒待ってたら
そりゃあ割れますよ…。
てか花瓶で3秒ルールってなんだよ…。
馬鹿なのかこいつ……。
寺島はそう言って、
"たまたま"近くに居た俺の背中を押して
割れた花瓶の前に立たされた。
おのれ寺島ァ…………。
寺島の方を見ると、ニヤニヤと笑っていた。
腹立つなぁこいつ………。
俺は素直にはい、と先生に言い
割れた花瓶を片付けて午後の授業を受けた。
他にも暇そうなやつが居ただろ。
なのになんで俺を選ぶんだよ……。
理由が分からない…。
__でも俺は、
寺島の後ろ姿を睨んでも、
何も出てこないことは分かっている。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。