第6話

美波side
71
2017/10/07 06:16




8月中旬の暑い日のことだった
お兄ちゃんが倒れたのは
すぐにパパに電話して病院に連れて行ってもらった
病院では疲れが出ただけでしょう。って言われてその日のうちにお兄ちゃんは目を覚まして家に帰った
家に帰ったお兄ちゃんはすぐにまた布団に入った
私はお兄ちゃんの隣の部屋だからお兄ちゃんの部屋から聞こえてくるドンドン、という音にすぐに気づいた
心配になってお兄ちゃんの部屋を開けた
お兄ちゃんの部屋は普段から人が住んでるか住んで無いかわからないくらいに無機質な部屋だった
コンポやお兄ちゃんが好きな曲のCDとかはあったけど、それも使われてないみたいに手入れされていてベッドの上や机の上もいつも凄く整ってて私の部屋よりも綺麗だった
部屋の中には黒と白が基調となっていてたまに置いてある紫やオレンジ、青といった大人びた色がお兄ちゃんっぽくて好きだった
それが、私が部屋の扉を開けると______


赤色に染まっていた
いつもは何もない机の上や床の上には髪や服、ナイフやハサミが散らばってて
その赤い部屋の真ん中にお兄ちゃんは頭を抱えるようにして座り込んでいた


私はどうすることもできなくて、
そのままお兄ちゃんのところまで走っていって後ろからぎゅ、っと抱きしめた
その瞬間に周りの赤が全て飛び散って

「あはは、」

って声が聞こえると同時に私は意識を失った
その時チラッと見えたお兄ちゃんの顔は何故か笑いながら泣いてた




次に目が覚めたとき、私は自分の部屋の布団の中にいた
そして、お兄ちゃんもいつも通りだった

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