第10話

準夜side
35
2017/10/07 07:15
ぴちょん、ぴちゃん、と水滴が落ちる音が廃墟に響く
こう言うところって無駄に広いんだよな…
俺と優斗、悠の3人がライトを持って先に進む
俺はあなたと、悠は流華と手を繋いで
流華
ね、ねぇそろそろ帰らない?
大体全ての部屋を回り終わった後に流華が言い出した
この時に帰っていたら、まだ間に合ったのかもしれない
みんながあんな目に遭うことなんて、なかったのかもしれない
優斗
え、まだ行ってない部屋あるよ?
準夜
あー…あそこはやめたほうがいいよ
嫌な予感がする
××
えー!
ここまで来ちゃったんだから行こうよー…
優斗
やばいと思ったら走ればいいじゃん!
流華
えー…
流華、どーする?
流華
……みんなが行くなら行く…
準夜
……
俺は納得いかなかったけど
結局西の部屋に行くことになった
西の部屋とは、肝試しに行った廃墟の西側にある部屋のことだった
なんで西の部屋、なんてありきたりな名前なのかって?
そんなの、優斗に聞いてくれ…
優斗
お、ここだ
今度は3人ではなくて優斗が先頭に立って西の部屋の前に立った
思ったよりも通路が細くて3列になって並ぶことができなかったからだ
古びた扉の奥からキィキィという不気味な音が聞こえた気がした
××
や、やっぱりやめたほうが…
あなたがオズオズと言ったものの優斗は何かに取り憑かれたようにその部屋の前に立っていた
ガチャリ、と音がして扉が開く
そこにいたのは_________
謎の女性
はよぅ…
凛とした声が響き立ち尽くす俺たちの鼓膜を刺激する
急にざわり、と寒気がした
謎の女性
はよぅ……こっちに…
だんだん小さくなる声に耳をすませたその時、俺の前にいた優斗が消えた
準夜
は、
謎の女性
ひひっ、…け、けけけけけっ…
不気味に笑い始めた女の下には優斗がぐったりとして横になっていた
っ、逃げろっ!
悠の声かけでみんなが一斉に出口の方へ向かって走り出す
謎の女は追いかけてこなかった
それでも俺たちは逃げ続けた

優斗を見捨てて

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