病院の診察室から少年と母がふらふらと出てきた。
薬局で待っている時ふと母がこう言った。
薬局で抑制剤を受け取ったあと買い物に行く母と別れとぼとぼと帰路を歩いた。
Ω と診断された時何故か不安感しか募らなかった。頭の中に襲われるという恐怖感。
心の中に浮かぶモヤモヤと不安の吐き気。
そして何よりも早く''番''を見つけなければという圧。
家のベッドに転がり雄大はぼんやりとしていた。何ならβに産まれて苦労ない平凡な日々を過ごしたかったのに。学校に行った時ヒートが起こったらどうしよう。
不安感に押し潰されそうになり自然と涙が出てきた。
最後まで言えなかった言葉の代わりに近くにあった紙をグシャグシャにして壁に打った。
威力有り余り壁かけカレンダーが少し揺れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!