この時期になると受ける診断。
颯斗は今年正式にαと診断された。
母が安堵感ある声で颯斗の背中を叩く。
もちろん安堵感あるだろう。
颯斗の父母は生粋のα性なのだから。
αって別にヒートも無いし かと言ってβみたいにクソ暇な人生過ごさなくていいし。
ぼんやり歩きながら颯斗はそんな事を考えていた。
ただ番を結ぶのだけ乗り越えればやる事は何もないんだ。
自分の部屋でポツリと颯斗は呟いた。
診察結果の通知表を照らし合わせながらスマホでバース性について調べている。
番関係を結ぶ時は項を噛むこと Ωの強いヒートの匂いはαはもちろんβまでも誘惑するということ。
颯斗が大きな声を出したら下から大きな声が返ってきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!