いつもの様に雄大は学校への道を歩いていた。
何となく不安感や恐怖感が募るが大丈夫大丈夫とずっと心の中で唱えていた。
雄大は昨日診断されてから何となく人との距離を避けたがった。 けどやはり幼馴染みは何でもお見通しのようだ。
教室に着き颯斗は雄大に耳打ちした。
ハハッと笑う颯斗を見て雄大にあの不安感が襲った。
雄大は下を向くしかなかった。
秘密事がない幼馴染みでもΩと診断されたらスラスラと言えるものじゃない。
早めに告白しておいた方が良い。喉まで出てきている言葉を飲み込んでしまった。
雄大は颯斗の言葉を聞いて心の中に支えていた重いものが一気に除かれた気がした。
その後の授業も特にアクシデント無く平凡な1日を過ごした。
今日は部活が無い日なのだ。
颯斗はホームルームが終わると雄大に声をかけた。
久しぶりに2人きりで歩く帰り道。
雄大は決心をして告白することにした。
雄大は何となく歩く足を止める。
そして聞いて欲しそうに颯斗の袖をぎゅっと引っ張った。
精一杯の声を振り絞って雄大が言った。
颯斗は急な告白に反応を困らせたがすぐに
と頼もしい笑顔を浮かべた。
雄大は何があっても颯斗に着いていくと決めた。
それなのに。 それだけなのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!