第3話

優しい日差しに包まれて
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2017/10/09 12:00
「あなた!いい加減起きなさい!」

彼女の母の怒号が早朝の花咲家に響く。

「はーい…。」

彼女は目を擦りながら起き上がった。

素早く顔を洗い、制服で身を包む。

階段を下り、リビングの扉を開ける。

美味しそうな朝食の匂いが彼女の胃を誘う。

「いっただっきまーす!」

朝食の美味しさに笑顔を顔に浮べながら彼女はふと時計を見た。

七時十分。二人が来るまであと十五分。

朝食を少し急いで口に運ぶ。

「ごちそうさま!」

「お粗末さまでした」

食後の歯磨き。

二人が来るまであと七分。

身だしなみを整え、お気に入りのピンをつける。

「よし、完璧!」

その時、インターホンが鳴った。

慌てて鞄を掴む。

「いってきます!」

「行ってらっしゃい!」

彼女は母と挨拶を交わし、家を飛び出した。


眩しいほどの日差しが彼女を包み込み、目を細めた。

「おはよう!紗奈、蒼大!」

「おせーよ、チャイムがなる前に出ろよ!」

彼女に喧嘩腰で意地悪な笑みを浮かべているのは、幼馴染みの一人、齋藤蒼大だ。

彼女にちょっかいをかける兄の様な存在だ。

「おはよう、あなた」

優しく微笑み、挨拶を返してくれたのはもう一人の幼馴染み、立川紗奈だ。

小さい頃から一緒だった三人はいつもの様に高校へと足を進ませる。

笑いの絶えない三人を優しく太陽が見つめていた…。

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