情報の授業では、移動教室をしなければならない。
その時席は出席番号順。
その順番で座ると、私と馬渕くんはとなりになる。
授業が始まって、パソコンを使って、それぞれ作業を始める。
急に馬渕くんに話し掛けられた。
ちょっとだけ、どきっとした。
私が笑って返すと、馬渕くんも笑ってくれた。
こういうことがあるから、学校は楽しいと思ってしまう。
遠くから麻生ちゃんの視線を感じた。
でも、この時は無視した。
ちょっとくらい、話す権利は私にもある。
「鵜浅さん」だと他人行儀だし、さん付けはなんかむず痒い。
普通に鵜浅とかで呼んでほしい。
私がそういうと少しだけ悩んだみたいだ。
私の心臓がなった。
まさか、下の名前で呼ばれるなんて。
驚いた顔で馬渕くんをみつめていた。
私は焦りながら言った。
たぶん、このまま颯夜架って呼ばれ続けたら、心臓が破裂する。
本当は呼んでほしいって気持ちもあるけど、それどころではなかった。
その日は終始ハッピーだった。
だけど、やっぱり麻生ちゃんはよく思っていないみたいだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。