いつもはコンタクトの馬渕くん。
今日は部活が休みだから、メガネの予定だったみたい。
でも、肝心のメガネを忘れてる…。
どういうこと。
私にはまず、笑いがきた。
授業がはじまって、先生と人盛り上がり。
馬渕くんも私もその盛り上がりの中にいる。
先生がある写真を見せた。
その写真、誰かに似ていた気がした。
でも私は小さな誰に似ているか思い出せなかった。
すると、馬渕くんは急に私の方を向いた。
それだ!
私達は二人同時に笑い出した。
クラス中が私たちに注目した。
なんだな、二人だけの秘密、みたいで嬉しかった。
そんなことがあった後、ようやく授業に移る。
先生が電子黒板を指しながら説明して、黒板に時を書き始める。
みんなはノートを開いて、黒板を写す。
すると、馬渕くんはまた私の方を振り返った。
私がそういうと、馬渕くんは何も言わずにノートを書いて、また振り向いた。
そっか、黒板が見えないのか。
一番前でも角度的に見づらい。
それプラス、メガネを忘れただけある。
見えないはずだ。
私はそんな馬渕くんが可愛く思えた。
なんだか、微笑ましかった。
頼られた気がして嬉しくなった。
そんな授業も終わった。
すると、実莉ちゃんが私に駆けよってきた。
あ。
全然気を向けていなかった。
華乃ちゃんが付け加えた。
やばい、本当にやばい。
完全に目をつけられた。
この前までのターゲットはひな子ちゃん。
これからのターゲットは、私。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。