カフェの中には入れない中庭があって
あなたはそこを挟んで俺たちと真正面の席に座った。いまだに気づいてないみたい。
ヒョン達の話なんか一切耳に入ってこない。
とりあえずあいつが気になってしょうがない。
あなたが席を立った。
もう帰るのか?20分もたってないぞ?
声かけるべきだよな。
あわててこっちに気づかせようと窓ガラスをバンバン叩いた。
パチっ!
あなたがこっちをみた。
あ、そらしやがった。なになに?下を俯いてるあなた。
そしてまた俺のことをみた。
これ気づいてるよな。
手でこっちに来るようにジェスチャーを送った。
意味が通じたのかコクンと頷いてパタパタとこっちに小走りで来るあなた。
かわいい。。
そう言ってあなたの手を引きながら店を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!