藍said
イツキが走って教室を出ていってしまった後僕は暫く立つ事が出来なかった。
空気を取り込むのに必死になっていた為イツキの後を追うことが出来なかった。
だが数分すると僕は落ち着きを取り戻し帰る準備をした。
鞄を取ってイツキの席を少し見ると机の上にストラップが置いてあるのが見えた。
そのストラップを手に取る、それは可愛らしい猫のぬいぐるみのストラップだった。
確かこれ僕とお揃いで買ったやつだ。
自分の鞄に付けている犬のストラップを見る。
高校になってから鞄につけたりとかしてるの見なかったからてっきり捨ててたのかと思ってた。
そのストラップを握りしめ下駄箱に向かった。
明日渡そう、まだ持っててくれたという事は僕の事…まだ好きでいてくれるかもしれない…、そう思ったから。
家に帰ると鞄とストラップを置いて僕は洗面台に向かった。
首元を見るとイツキの手の跡がくっきり残ってた。
僕はそれに触れる、まだ少し痛むな。
でも…イツキが付けてくれた跡だと思うと…少し嬉しいとか思っちゃうんだ…。
僕っておかしいのかな…?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!