勝利はすぐに駆けつけてくれた。
勝利の姿を見た瞬間私は安心して涙が溢れてきて止まらなかった。
涙でグチャグチャの私は勝利に縛られていたのを取ってもらい洗面台で顔を洗った。
私勝利の誕生日に何やってんだろ......?
そう言って私達はエレベーターに乗り込んだ。壁にある ご案内 というポスターを見ていると一点に集中した。
私達はほとんどシンクロして同じ言葉を言った。
ポスターには6階の映画館で今日だけ割引という字があった。
ほどなく6階に着き私達は観たい映画のチケットを買った。あと映画まで45分近くあるからカフェに入った。
私は勢いでうん!と言ってしまった。
すると勝利は端っこを切ってあ~んの体勢に入っている。
私がためらっていると勝利が言った。
勝利が口に入れようとすると私は勝利の手を自分の方に持ってきて食べた。
そう言い私達は6階の映画館へ向かった。
久しぶりの映画館、こんなに暗かったっけなぁ。カップルがいっぱいいるしどこからかポップコーンの匂いもする......。
私達は機械の前でチケットを買った。
日本もハイテクになったもんだなぁ.....。
勝利はそう言ってさりげなく手を繋いできた。
私の顔がボッと赤くなる。
照れながらも私はギュッと繋ぎ返した。
なんだからカップルになった気分....
私達は上映する所に行き指定席に座った。
なんか本当のカップルみたい.....!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。