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第1話

おいで。
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2017/10/16 09:12
「良かったらうちにおいで?」

手を差し伸べられ、私はその手にすがるしかなかった。

でもこれが…

恋の始まりだった。


お坊さんが永遠とお経を唱えているのを聞いている。

先日、私のお母さんとお父さんは交通事故に遭い、亡くなった。

事故の原因は相手の飲酒運転。

親が死んだ。なんて全く実感がない。

けど、家に帰ると誰もいない。誰も帰ってこない。

こんな毎日は嫌だった。

私はもう家族がいなかった。

お父さんとお母さんも一人っ子で、おじいちゃんもおばあちゃんも亡くなっている。

このお葬式は、遠い親戚の方が手配してくれた。

「これからどうしたら良いのかな。」

これからずっと一人で、一人暮らし&バイト?

来年は受験生なのに…。

お葬式が終わり、私は座っていた。

もう何もしたくない。

何をしたら良いのかさえわからない。

私の中に魂が無いような気がした。

あぁ、本当に死んじゃったんだ。

今更悲しくなった。

けど、一筋の涙しか出なかった。

お父さんやお母さんの友達や、遠い親戚の人達が私に挨拶をする。


「もし、良かったらうちにおいで?」

不意にかけられた言葉に驚いて顔をあげた。

「え?」

「おいでよ」

優しく微笑む男性の顔は、太陽のように優しかった。

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