とりあえず、部屋を出て一階に来た。
ここからどうやって行けば良いのかわからない。
すると、ちょうど20代くらいの若い女の人が歩いて来た。
「あの人に聞いてみよう。」
「あの、すみません。近くのスーパーってどこにありますか?」
「えっと、ここを右に行けばすぐ着くよ。」
「ありがとうございます!」
「いーえ」
と教えてくれた。
歩いて行くと、本当に5分くらいで着くことができた。
スーパーに入るとまずは、色とりどりの野菜が並べられていた。
「今日の夜ご飯、何にしよう。」
んー。
和食でお魚と肉じゃがとか?
でも、洋食でガッツリ食べたいかな?
悩みに悩んだ結果、カレー。
達也さんの好みがわからないけど、カレーなら大丈夫だろう。
とりあえず、カレーに必要な物と、明日の朝ご飯などの材料を買う。
「あ、明日のお昼は達也さんいるのかな?」
わからない。
けど、スーパーは近いし、また明日も来れば良いか。
お会計を済ませて、スーパーの袋いっぱいに詰め込まれた袋を持つ。
「重っ」
よたよたと歩きながら家へ帰る。
家…。
私の本当の家はやっぱり…。
お父さんとお母さんと過ごして来たあの家。
達也さんの家は、私の次の家になれるのだろうか。
などと考えているうちに家に着いた。
鍵を開けて入ると電気が付いていた。
あ、帰って来たんだ。
なんだかすごく安心した。
お風呂場から音がするからきっとお風呂に入っているのだろう。
私は部屋を出る前に、
[お帰りなさい。お疲れ様でした。お風呂を沸かしておきました。もし良かったら入ってください。
私は近くのスーパーへ行って来ます。 あなた]
と置き手紙を残しておいた。
帰って来ているなら早くご飯を作らないと。
まずは急いでお米をといだ。
次に買って来たものを冷蔵庫に入れつつ、必要な材料はだしておいた。
「よし、作ろっ!」
私は料理とかお菓子作りが好きで、よくお母さんと一緒に作っていた。
手際よく野菜や肉を切り、炒めていく。
するとドアが開き、達也さんが入って来た。
「良い匂いがするなぁ。カレーか?」
「きゃっ」
上半身裸で、少しまだ髪の毛も濡れている。
ちょ、まって、やばい。
カッコ良すぎなんですけど!
さっきも思ったけど、やっぱイケメンだぁ!!
しかも、しかも、腹筋割れてて、腕の筋肉もあって…。触りたいいい!!!
「あ、ごめん、ごめん、着替えてくる」
「あ、ちょっと待ってください。」
「ん?」
と振り向いてくる。
あぁ、カッコいい。
「髪の毛よく拭かないと風邪ひきますよ?」
「タオル貸してください。」
と首にかけてあるタオルを取る。
そして、わしゃわしゃと髪の毛を拭いた。
拭いている時、もう心臓がやばい。
頭の中がキャーキャー言ってる。
達也さんは背が高くて、私には少し届かないから
達也さんはしゃがんで来れた。
「よし、出来ましたよ。」
「ありがとう。」
と言うと、私の頭をポンッと手で撫でてくれた。
あ、本当にこれ、やばいかも。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!