「うぅ、」
あったかい。
ゆっくり目を開けると、
達也さんに抱きしめられるような格好になっていた。
わっ、と声を出しそうなところを抑える。
あ…。そういえば私、泣いたまま寝たのかな。
だから、達也さんの腕が私の頭を包むように、達也さんの胸の中で寝ていたのかもしれない。
そう考えるとみるみる顔が赤くなって行くのを感じた。
今何時かな?
でも無理に動いたら起きちゃうよね。
うーん、と考えていると、
ピピピッピピピッピピピッ
と目覚ましが鳴った。
なんとなく私は目をつぶり眠っているフリをした。
すると、私の後ろにある目覚ましを止めようと、達也さんは私に覆いかぶさるように止めた。
近い、近い!!さらに近い!!!
「うぅ、」
と達也さんが起きた。
すると私がいることに気づき、
急いで引き下がった。
「あなたちゃん、ごめん!」
「大丈夫です。おはようございます。」
「おはよう」
と爽やかな笑顔だった。
やばい、朝から心臓が…。
「私は先に起きますね。お弁当作るので、」
「俺も起きようかな。」
と眠そうな顔をして起き上がる。
「ダメです。達也さんはせっかくのお休みなんですから。」
昨日も非番なのにお葬式に来てもらったし、もうちょっと寝ていてほしい。
「そう?」
「そうです。何時に起こせば良いですか?」
「うーとじゃあ7時で。」
「わかりました。」
「ところで何時に学校行くの?」
「えっと、まだここから行ったことが無いので、早めに出て…8時ですかね?」
「ok。」
達也さんの家は私の家からそんなに遠くはない。
ギリギリここは学区内だから高校は変わらなかった。
美紅には
[ごめん、美紅!明日は一緒に学校いけない!学校でちゃんと話すね!]
とLINEを入れておいた。
「じゃあお休みなさい」
「はーい、お休み。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。