「ただいま!」
「おかえり」
優しく微笑んでくれる。
あぁ!もう好き。
その笑顔は反則でしょ!
今すぐ抱きつきたい。
「ジャン!みて、これ買ってきたんだ。」
「うわぁ〜!美味しそ〜!」
綺麗で、美味しそうなケーキがお皿の上にのっていた。
「じゃあ、あなたちゃん着替えておいで。ケーキ食べながら話そう。」
と紅茶を淹れる準備をしてくれた。
「はい!」
すごく幸せ。
達也さんに忘れられてしまった時、こんなにも達也さんが好きなんだ。ってことを実感した。
でも、私のこの気持ちはどうなるんだろう。
この気持ちは…
隠し通す。
…のかな?
隠し通せるかな?
でも…この関係を続けるには、そうするしかないのかな。
いろんな想いを巡らせながら着替え、リビングへ向かった。
「お待たせしました。」
「大丈夫だよ。」
「あの、早速話してもいいですか??」
もう早く話したかった。
「うん、いいよ。」
「えっとですね、まず…」
達也さんが現場で頭を打って、救急車で運ばれた事。
それで、私も病院へ駆けつけ、達也さんが起きるのを待っていたけど、
起きたら達也さんは私のことを忘れていた事。
それから4日間のことをたくさん話した。
「そっか…。ごめんね、大変だったんだね。」
「大丈夫ですよ。こうやって達也さんが思い出してくれることが一番嬉しいです!」
きっと私はこの上なく嬉しかった。
「また家族が居なくなったら悲しいよね、、」
家族…。
そう、だよね…。
“家族”だもんね。
家族…。
達也さんに家族。って言われたら急に現実を見せられた気がした。
恋しちゃ、いけない…。
達也さん、「好き」って言ったらどうなりますか?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。