桜井が来る前に1時間以上勉強してそれプラス30分…。さすがに疲れた。てことで手当り次第曲を入れて、歌っていく。
でも、俺らの勉強を見てくれている桜井は、“課題があるから”と言って断った。そして今では、ヘッドホンを付けて課題を進めている。
俺が歌うのは人気男性バンドの超有名なやつ。
ドヤ顔してやったぜ。
そう言ったのはお調子者担当の朔斗(さくと)だった。
しかも歌い出したらめっちゃ上手くて99点取ってた。
確かに…。SAKULAは男のファンも多い。実際俺もファンだし。もちろん、6割方が女のファンだ。
SAKULAのいい所は、聞き手である俺らが感情移入しやすい所。恋愛系の歌が多いけど、それでも感情移入しやすいし、それ以外に元気を出させてくれる歌も多い。
おいおい、俺らが歌い始めて30分以上経って、違う課題進めてるし!どんな集中力だよ…。
それにもその集中力を分けて欲しい…。誠実に…。
桜井が伸びをした。無意識に見てたんだな、俺の方に向かって聞いてきた。
言われてみればもう6時前だ。もう冬だし、外は真っ暗だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。