私が帰ると言い出したことをきっかけにみんなも帰ることになったというのはいいんだけど…、
私以外みんな同じ方向じゃん!
カラオケから出た今の時間はもう6時を過ぎている。私の家に寄ってから帰るとしたら7時になっちゃうかもしれない…。
えっと…名前は村田君…だっけ?さすが彼氏って感じなんだけど…。
苦笑しながら言うと、二人揃って“ごめん”と謝ってきた。別に謝ることじゃないんだけどね。
強引に押し通されて帰ることとなったメンバーは、私、すず、村田君、神崎君の4人。
今回の勉強会メンバーの中でも結構なイケメンだし。絶対彼女いると思ったんだけどな〜…。
これは、美優にも言ったことがない。顔を出していないとはいえ、歌手だ。急なレコーディングや打ち合わせでドタキャンなんてこと何度もある。その被害にあっている友達の中で事情を知っているのは、もちろんすずだけ。
同じ考えだ…。美優に言ったらとりあえず付き合えって言われそうだけど、ちゃんと同じ考えの人がいる…。なんか安心するな。
両親揃ってある一流企業の本社に勤めている。部署は違うけど、よく出張にかり出されてるから期間が被ることなんてよくある事。
……実際に今回もだし。お母さんは北海道、お父さんはアメリカ。
こういう時は近所に住んでる親戚のお姉ちゃんとかが家に来てくれる。
…やっぱり知ってたか。まぁ、確かにこんなにも大きくて警備が厚いマンションは、ここら辺じゃ全くって言っていいほどないもんね。
そう言ってすずが指さしたのはエントランス前にたってる女の人。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。