今日の勉強会場がすずの家ということで、1度家に帰った。
だって、制服のままで1日を過ごすのも…ね。
そう思って着替えたのは、淡い色のギャラクシーが数字のとこにプリントされている白のトレーナーに、細身のジーパン。
出張が多い両親。でも泊まり込みも多い。
そういう時は12歳離れている兄がいることが多いけど、生憎兄もニューヨークにある支社で働いている。
と、ゆーわけで今は完全に1人というわけなのだ。
いろんなことを考えながら自転車をこいでいたら、すずの家の前に着いていた。
すず曰く、私が着く五分前から家の前に立っていたそうで…。
すずに背中を押されながらも家の中に入った。
すずの家は3階建てで4LDKの一軒家。…要するに、めちゃめちゃ広い。マンションに住む私からすれば、すずの家は憧れそのものだ。
いちばん広いリビングまで背中を押され続けた私。入った途端、荻田君に声をかけられた。
教材を積み上げて、ノートを閉じている……つまり、勉強をしていないということ。
本当に凛征に行きたいのかと疑ってしまう程の有様だ。
すずから受け取った課題を見てみると、二次関数の応用問題だった。
こういう問題は、出来なきゃ凛征で過ごすのは結構難しい程需要が高い。
ここは凛征での現実を教えるべきか、言わないでおくべきなのか…。みんなの顔を見たら余計に悩んでしまう…。
私がそう言うと、すずが今まで解いた問題を渡してきた。
まぁ、すずは問題に直接マークをつけるタイプだからかなり有難い。
にしても2年の時に確率を教えたのに、未だに間違えるとか…。相当苦手なんだな。
文句を言うすずを無視して、村田君のを見てみる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!