座れるところに移動し、すぐに五十嵐くんに目をやる。
そう言って叶矢の方を向く。
と、当たり前な返事。
少しは、テンション合わせてくれてもいいのに。
その態度にムッときて、試合に目を向けた。
すると、大雅くんと目が合った。
目が合い、五十嵐くんからペコッと頭を下げてくれた。
だから、私も口パクで頑張れと伝えてあげた。
意味が伝わったようで、口パクでお礼をしてくれた。
ピーッ
試合のホイッスルがなる。
この試合は、五十嵐くんを中心に動いていた。
汗だくになりがらも必死にやっている五十嵐くんを見ていると
また、胸がキュンとなる。
こんなふうになったのは初めてかもしれない。
先輩を好きになった時もこんな風になったことない。
●●●●
ピーッ!
試合終了のホイッスル。
接戦だったが、五十嵐くん率いるチームが勝った。
体育館を出る時に、叶矢と話しを共有した。
次はちゃんと話に乗ってくれて嬉しかった。
突然試合終わりの五十嵐くんに呼び止められる。
私は、五十嵐くんの元にかけて行った。
試合を見たあとなので、つい私も興奮を抑えきれなくてベラベラと喋ってしまった。
私が話したことにひとつずつ答えてくれた
叶矢に帰る催促をされ、大雅くんに手を振って
帰った。
五十嵐くんも、小さく手を振ってくれた。
何か元気なくなったのは気のせいかな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!