シルクと話してたら、学校に着くのなんてすっごく早くて。
もう学校の玄関。
シルクはたまに私が違う学年ってこと忘れちゃうみたい。
たくさん話してるからね。
私がシルクとバイバイした後に見るもの
私がまず目にするのは、
この最悪の下駄箱の中。
靴を履くと、またあれが靴の中に入ってる。
「お前調子乗りすぎなんだよ」
「死ねよ、自殺しろ」
「お前なんかいなくてもいいんだよ」
たくさんの心に刺さる言葉たち。
紙に大きく書かれた、〝 死ね〟の文字。
私、なんかした?
私なんかいなきゃいいの?
毎日毎日そればかり考えてる。
けど、シルクといる時は、
そんなこと忘れちゃう時が沢山あって、
一緒にいると安心する。
靴は先生に私へのいじめがばれないように
ちゃんと綺麗においてあるみたい。
じゃあ、なんで私が先生やシルクにこのことを言わないのか、って?
シルクにとっても迷惑がかかるから。
シルクにまで嫌われたくないから。
たったのこれだけなの。
だから私はこの紙をバックの中に隠すの。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!