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第1話

思い出した
33
2017/10/13 22:29
あなた

ユーラ?何してるの?

ユーラ
あぁ、おはよう
あなた

どうしたの?ぼーっとしちゃって

私がペットのチワワと、河原を散歩していると、友達のユーラを見つけて話しかけた。
ユーラ
今日、変な夢を見たの
あなた

変な夢?え、何か気になる。教えて

鮮やかな緑の芝生のカーペットの上に寝転がっているユーラの隣に、チワワと共に私も寝転んで、空を流れる雲を眺めて、話を聞いた。
ユーラ
誰かが私に言ってきたの
「忘れんなよ」って、不思議でしょ?でも、その人の顔が黒い靄みたいなもので隠れていたから、誰だかわからなかったのよ
チワワを撫でながらユーラは語った
あなた

誰だかわからないの?何か、損した気分ね

ユーラ
でも、その人のことを、私は知ってる…
何だか知ってる気がする、彼を
そう言ったユーラは撫でていたチワワを私に預けて起き上がり、いきなり川に向かって叫んだ
ユーラ
今日のあなたは誰だったのーーーーー!?
あなた

ユーラ…あっちの世界まで聞こえるかもよ
その声の大きさだったら、きっと

ユーラ
私を覚えててくれてる人と会いたーい!
ユーラ
だって、気になるでしょ?夢に出てきた、私を覚えてる、知っている、あの人
あなた

そりゃあ…気になるけど、ユーラ、みんな、見てるわよ…あなた、声大き過ぎる!

大きな声で叫んだユーラのことを、私のように散歩にきた人が笑いながら、ユーラを見ている。ユーラはキョトンとした顔で私を見るけれど、一緒にいる私は赤くなった顔を隠すように頬に手を当てた。
ユーラ
あー、大きい声出してスッキリした!
もう帰ろっかな、じゃ、バイバイ
手を振って走って帰っていくユーラに見えなくなるまで手を振り続けて、私も家にチワワと一緒に帰った。
家に帰り、自分の部屋でのんびりと絵を描いていると、私のポケットに入れてあった携帯電話に電話がかかってきた。
ユーラ
もしもし、私、わかったかもしれない
あなた

わかったって…夢の中の人が?

ユーラ
そう!多分、その人と私は10歳までの学校が一緒だった。そして家も近かったんだと思う、名前…名前はわからない
あなた

そっか、幼馴染ってことか、ユーラの。でも、そこまで思い出したんだね、凄い

電話の先のユーラはとても嬉しそうに話していた。顔と名前を思い出せない、夢の中の人は、ユーラにとってどんな人なんだろうか。
ユーラ
それでね、今日も同じ夢を見たいの。どうすればいいのかな、同じ夢を見るって
あなた

どうすればいいかって、2人で方法を探してみようよ。私もユーラがそこまで気になってる人が知りたいし、手伝ってあげる

ユーラ
うん!ありがとう、頑張るね!
お互い、電話をかけたまま、ネットで検索を始めた。
「もう一度 同じ夢を 見る 方法」
あなた

あ、これは?
「寝る前に、自分の家のポストに見たい夢の内容を書いた紙を入れて、2度手を叩いて、ポストの蓋を閉める」
だってさ、いいんじゃない?

ユーラ
あ、私の家にポストあるよ!今日はそれでやってみようかな
あなた

まだ、時間はあるし、大丈夫だよ。一つ一つやっていこっか。焦らずに

ユーラ
じゃあ!今日、やってみるね!楽しみ!
あなた

じゃあ、電話、切るよ。バイバイ

電話を切って、私はユーラがいい夢を見ることを祈った。そして夜になって眠った。

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